住宅のスイッチ高さ、マンションや建売住宅では床面から120cmが多いですが、本当に使いやすい高さなのか、スイッチ高さに悩む人に解説します。
スイッチ高さは120cmが一般的
分譲マンションや建売住宅のスイッチ高さは床面から120cm(1200mm)に設定されていることが一般的。図面を見ると「スイッチ高さ:FL+1200」のように記載があります。
(Panasonic スイッチ・コンセント冊子より)
実際使ってみると、慣れているからか健康な大人が使いづらいということはないと思いますが、せっかくなので自分にとってのベストを探ってみましょう。
新標準は100cm?
こちらはPROUDシリーズとしてマンション・戸建を供給している野村不動産が分譲物件で採用しているスイッチ高さ。100cm(1000mm)となっています。野村不動産以外にもこの高さにするディベロッパーは増えてきており、この床面から100cmというのは、新標準と言ってもいいでしょう。実は僕も建売住宅の設計で採用しています。
(野村不動産「プラウドシーズン中野上鷺宮 翠彩の邸」設備仕様より)
床面から100cmとするのにはいくつか理由があります。
- 両手がふさがっている時にもひじや腕(前腕部)の部分で押しやすい高さ
- 高齢になってからもひじを折らず、腕(前腕部)を使って押しやすい高さ
- 車椅子からでも押しやすい高さ
両手がふさがっていても押せる
両手がふさがっている時、皆さんどこでスイッチを押しますか?
最近のスイッチはワイドスイッチといってスイッチの押す面が大きくなっているので、指先ではなくても押すことができます。(スイッチについては別の機会に)
(Panasonic リ!スイッチ パンフレットより筆者作成)
両手がふさがっている時、120cmのスイッチ高さだと、
肩をちょっと下げて押す・ひじをちょっと上げて押す
このどちらかが多いと思いますが、どちらもちょっと負担。
100cmの高さの場合、ひじから前腕にかけての部分で自然にスイッチを押すことが出来ます。
高齢でも使いやすい
両手がふさがってなくても、歳をとった時のことを考えて100cmのスイッチ高さが推奨されています。120cmの高さだとひじを曲げて押す時に、ひじの高さより上まで手を上げないといけませんが、100cmならその負担が少ないというのが理由です。
(Panasonic スイッチ・コンセント冊子より)
車椅子でも押しやすい
車椅子ユーザーにとっても使いやすい高さが100cm。バリアフリー設計指針等でもスイッチ高さは100~110cmとされることが多いです。
(筆者作成)
スイッチ高さ100cmのデメリット
スイッチ高さを100cmにすることにはいくつかデメリットもあります。
家具配置によっては家具の裏に隠れてしまう
ハイチェストなど腰より少し高い位置までくる家具の高さは100~110cmのものが多いため、スイッチの近くに家具を設置した場合、スイッチが家具の後ろに隠れてしまうことがあります。
スイッチ高さ120cmを想定して家具が設計されていることも多く、114cmまでの家具であればスイッチと干渉することがありません。現状では家具の選択肢はスイッチ高さを120cmにした方が多くなりそうです。
スイッチ高さ100cmにする場合、スイッチの付近には家具を置かないか、94cm以下の家具を選ぶ必要があります。
こだわりのスイッチ高さ93cm
本当にこだわる人のスイッチ高さは93cmなのかもしれない、と僕は思うのですが、その根拠はなんでしょうか。
下の図から一目瞭然ですね。
(Panasonic・LIXIL提供のCADデータにより筆者作成)
国内メーカーの建具は標準でレバーハンドル(ドアハンドル・ドアノブ)や引手の高さが床面から90cm~95cm程度です。
フラットでスッキリしたドアを選択したとしても、レバーハンドルや引手はどうしてもドアには必要なもの。また壁面にとってもスイッチはある種の異物です。
それらの高さを揃えることで、スッキリした印象にするとともに、スイッチのON/OFFをするのはドアを出入りする時ですから、同じ高さでスムーズに連続して動くことも意図しています。(背の高い家族であればレバーハンドルの高さをオーダーで変更することも可能です)
実際には標準よりかなり下の方にスイッチがあるように思えるので、好みの問題はありますが、一つの提案としていかがでしょうか。
まとめ
- スイッチ高さ120cmが標準だけど使いやすいのは100cm
- 家具配置をよく考えてスイッチ高さを決めよう
- こだわりの93cmというのもあり!